第12回 負帰還増幅回路
1 帰還回路
増幅回路の記号
上記の増幅回路などを総合して、下記のような記号で表す。
増幅回路の出力信号の一部を入力側へ戻すことを、
帰還
(feedback)といい、そのための回路を
帰還回路
という。この帰還回路をもった増幅回路を
帰還増幅回路
という。
帰還増幅回路には、
・正帰還増幅回路
・負帰還増幅回路
があるが、正帰還増幅回路については、後期に発振回路として学ぶので、この授業では主に、
負帰還増幅回路
について学ぶ。
出力信号の一部を帰還回路によって入力側に帰還するとき、帰還回路の出力を信号(帰還信号)が入力信号と同じ位相であれば、入力信号は大きくなり、さらに大きな出力信号となり、発振回路といわれる増幅回路とは異なる特性の回路となる。
⇒
正帰還
という
出力信号の一部を帰還回路によって入力側に帰還するとき、帰還信号が入力信号と逆位相であれば、入力信号は抑制され、安定した増幅回路となる。
⇒
負帰還
という
負帰還は、
入力信号と帰還信号が反転 ⇒ 入力信号を打ち消すように働く。
・
増幅度は低下するが、信号のひずみ、周波数特性が改善する
帰還回路の理論
左図において
(I)
増幅度Aの増幅回路
エミッタ接地ではv
1
とv
2
の位相は180°反転
(II)
帰還率βの帰還回路
βv
3
が入力側に帰還
増幅回路の増幅度 A=v
3
/v
2
負帰還回路全体の増幅度 A
NF
=v
3
/v
1
A
NF
の添え字 NF とは Negative Feedback を表す。
負帰還回路(II)の出力は、v
1
と逆相なので、v
2
の信号は
v
2
=v
1
−βv
3
これより、
となる。
例)
A=40のとき、
β
0
0.2
0.5
1.0
A
NF
40
4.4
1.9
1.0
β=1.0は、出力信号をすべて入力側に戻すことになる。βが大きいほど、回路全体の増幅度は減る。
負帰還の利点
(1)利得の安定
(2)周波数特性の改善
(3)ひずみの低減
(1)温度変化、電源電圧変動、トランジスタ特性のばらつきによる増幅度の不安定さ
⇒負帰還により安定化
負帰還での増幅回路の増幅度は、
であるから、
Aβ≫1となるように決めれば、
となる。
すなわち、増幅器の増幅度Aに左右されない(安定化)
(2)周波数特性の改善
上図は、負帰還のない場合の増幅度A
0
と負帰還のある場合の増幅度A
NF
の周波数特性を示している。この図に示すように、負帰還がある場合、増幅度を下げることにより、低域遮断周波数、高域遮断周波数が改善され、帯域幅が広くなる。
(3)ひずみの低減
左図のv
d
はひずみである。このとき、出力v
o
は
となるので、Aβが大きければ、ひずみv
d
は低減される。
負帰還方式の分類
(A)出力信号の取り出し方による分類
(B)帰還信号の入力信号への加え方による分類
インピーダンスに関して
通常の回路において、インピーダンスZ
1
にインピーダンスZ
2
を直列に接続すると、合成インピーダンスはZ
1
よりも増加する。
インピーダンスZ
1
にインピーダンスZ
2
を並列に接続すると、合成インピーダンスはZ
1
よりも減少する。
上記のことを踏まえると、
入力インピーダンスZ
i
出力インピーダンスZ
o
並列注入 減少
並列帰還 減少
直列注入 増加
直列帰還 増加
第12回 練習問題
次の文章の空欄を埋めよ。
増幅回路の出力信号の一部を入力側へ戻してやる操作を
(ア)
といい、そのための回路を
(イ)
という。
出力の一部を入力に帰還させる場合、入力信号と同じ位相で帰還させる
(ウ)
帰還と、逆の位相で帰還させる
(エ)
帰還とがある。
次の文章について正しい文には○、誤っている文には×をつけよ。
( ) 出力信号の一部を入力信号と逆位相で帰還させることを正帰還という。
( ) 出力信号の一部を入力側へ戻してやる操作を負帰還という。
( ) 負帰還をかけると利得は低下する。
( ) 負帰還をかけると周波数特性は悪くなる。
( ) 教科書P80の図5・5(f)の直列並列注入帰還回路の出力インピーダンスは低下する。
( ) 教科書P80の図5・5(f)の直列並列注入帰還回路の入力インピーダンスは低下する。
下図の帰還増幅回路の増幅度 A
NF
を求めなさい。
下図(a)、(b)の回路について次の問いに答えなさい。
図(a)の回路の帰還方式を何と言うか?
図(a)の回路で抵抗 R
2
の値を大きくすると帰還量はどうなるか?
図(b)の回路の帰還方式を何と言うか?
図(b)の回路の抵抗 R
3
の値を小さくすると帰還量はどうなるか?
教科書P80図5・5(b)の回路がP79図5・4(a)の並列直列注入帰還回路であることを示しなさい
第12回練習問題 解答
(ア)帰還 (イ)帰還回路 (ウ)正 (エ)負
×、×、○、×、×、○の順
A
NF
=A/(1+Aβ)=4.62
a.並列並列注入帰還 b.小さくなる c.直列直列注入帰還 d.小さくなる
教科書参照